| 月刊：考研レビュー |
| ２０１６年 ５月号 ４週：リスク管理:失敗要因の克服 |
| ３週：正しいこと、正しい結果を生むこと |
| ２週：プロジェクトリーダーの権限：考房だより１２７ |
| １週：生き続ける極意 |
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リスク管理:失敗要因の克服
リスク管理という言葉は広く知られるようになりました。同時に、
これを実践している企業や団体も多くなってきました。BCPのように
システム化されたものも普及してきています。
しかし、リスク管理を実践していても、これで完璧ということにはなら
ないでしょう。不確実性の存在を消すことはできませんし、想定外の
ことが発生することも避けることができないからです。そこで、リスク
管理の失敗要因の出現をできるだけ小さくする方策を調べてみました。
リスク管理を全くしないことは論外として、リスク管理の失敗要因の
多くは次の３つの言葉に集約されるのではないかと考えられます。
・想定外
・オオカミ少年
・インセンティブ
人間は何かものを考えようとする時に、これこれについて考えようと
いう領域を決めます。この領域を区切る境界を作ることを想定と呼び
ます。これは、失敗学を提唱している畑村洋太郎博士の言葉です。
この境界を超えた領域で起こることが想定外です。従って、想定外は
起こりえないのではなく、確立は低いが起こる可能性があるのです。
安全に関する説得性の高い説明は、考える領域内でのことであり、その
領域を超えると安全神話が崩れていく訳です。
一般的に、ほとんどの人たちは経験的知識や統計的知識の及ぶ範囲内で
リスクを考えます。この範囲内でリスク管理は有効なのです。しかし、
経験的知識や統計的知識がカバーできない領域で異常な事象が発生した
場合、こうしたリスク管理は力を失ってしまうのです。
リスク管理を担う者にとって、辛さを感じさせることがあります。
それは「オオカミ少年」のレッテルを貼られることです。リスク管理者
の役割の１つは、リスクの存在に対して警鐘を鳴らすことです。
しかし、警鐘を鳴らしていたことに対して、何のトラブルも事故も発生
しないことがあります。むしろ発生しないことのほうが多いでしょう。
こうした場合、リスク管理者の警鐘は「また彼が一人で騒いでいる」と
受け止められるようになります。「彼が警鐘を鳴らしてくれているから
危機が発生せずに済んだ」と受け止めてくれる人は稀少なのです。
こうした状況下で、リスク管理者が警鐘を鳴らしているリスクに対する
大方の人たちの感覚は麻痺していき、リスク管理が及ばなくなります。
そしてトラブルや事故が発生しますと、責められるのはリスク管理者
なのです。
上記のことからも感じられるように、リスク管理を行うことにインセ
ンティブを与えるには困難が伴うようです。それ以外にも、リスクを
考えるよりもっと前向きなことを考えたいという、人間としての自然な
欲求もあります。
また、リスクが現実のものとならなかった時には、リスク管理が行われ
たことや、リスクがあったことさえ忘れられやすいのです。こうした
ことから、リスクを管理するという行為への評価がどうしても低くなり、
インセンティブを与えることが困難になるために、リスク管理に失敗
するケースが出てきます。
こうしたリスク管理の失敗要因が顔を出すのを極小化することが、
リスク管理が失敗する確率を小さくすることにつながります。重要なの
はそのための行動です。
先ずは、リスク管理とは何か、という問い掛けへの答を考えてみます。
リスク管理の起点は、自分にとって大切なものは何かを考えることに
あります。その答は、「自分にとって大切なものは○○で、守るべきは
□□である」と出てきます。
その答を実践するために、「リスクを認識し、これに対処する」ことに
取り組みます。これがリスク管理の根本です。「自分にとって大切な
ものを守ろう」というインセンティブこそが第一に必要なことなのです。
リスク管理を担う者が「オオカミ少年」のレッテルを貼られることは
避けることができません。しかし、リスク管理を全うしようとするなら、
これに対して毅然とした態度を堅持する勇気を持つ必要があります。
こうした勇気をもって物事に対応することが、組織全体にリスク管理の
必要性や重要性への認識を定着させることになります。
リスクとは、未だ確定していない将来のことに関わるものです。将来
を予測することには限界があります。従って、ある所で線引きをして、
想定外の領域を作らざるを得ません。
しかし、想定外とは言っても「起こらない」とか「考える必要がない」
と受け止めてしまうことは危険です。想定の領域の外に置いたものにも
注意を怠らないことで、失敗要因の出現を小さくすることができます。
気付きを大切にすることも効果があります。予め全てを考慮に入れる
ことは不可能ですから、「何か引っかかる」とか「あれっ、何だろう」
と感じるものを捨てずに、考慮の対象として置いておくのです。
何かの折にこれが意味を持つことが分かり、想定の領域の内に取り込む
ほうがよいとの考えから、重要な軌道修正につながることがあります。
こうして、想定外という要因による失敗を小さくすることができます。
リスク管理の失敗要因を認識し、失敗要因の出現をできるだけ小さく
する行動を取ることによって、リスク管理を上手に進めたいものです。
正しいこと、正しい結果を生むこと
“正しいこと”と受け止められるものがあります。しかし、それは
どんなことか、どんなものか、と突き詰めて考えてみますと、きわめて
曖昧な表現だと言わざるをえません。
先ず、一般的に“正しいこと”と受け止められているものをいくつか
上げてみることにします。
・事実に基づいている
・科学的に認められている
・社会的に認められている
・社会規範や社会倫理に合致している
・法律や条例に合致している
・論理的に成立する
・目的や基本方針に合致している
・上記の各項目から論理的に導き出せる
といったところでしょうか。
世の中には、こうした正しいことを貫いて思考し行動する人たちが
いる一方、こうしたことを意識しながらも、少々逸脱して思考し行動
する人たちもいます。
理屈の上では、前者のほうが正しく思考し行動していると言えるのに、
なぜ後者のような思考と行動を取る人たちが結構多いのでしょうか。
その辺りのことを考え、いろいろと調べてみました。
結論は次の通りです。
「正しいことと、ある行為が正しい結果を生むこととは違う」
正しいことを正面から押し通しても、正しい結果を生まないことが多い
のです。同時に、正しいことから少々逸脱した行為が正しい結果を生む
ことも多いのです。
こうしたことが起こるのには理由があります。色々なクレームに対応
してきた私の経験もこの結論を裏付けています。クレームの発生があり
ますと、先ずは現場、現物、現実、現象をていねいに調査し、トラブル
の原因が何であったかを客観的に明らかにします。
この調査に基づいて相手に原因を説明して理解を求めます。しかし、
相手はそれだけでは納得しないことがほとんどです。特に相手側にも
問題が認められる場合には、科学的・客観的視点からの説明では納得
してもらえないことが多いのです。
こうした状況に陥った際に必要になるのが、相手の心理や感情、置かれ
ている立場を掴むことです。このクレームを解決しようとするならば、
科学的・客観的視点からの説明は一旦脇に置いて、相手の立場、心理、
感情を適切に捉え、相手の気持ちをこちらに向ける必要があるのです。
即ち、クレームの解決という正しい結果を生むために、正しい調査結果
から少々逸脱（一旦脇に置く）して、相手の気持ちに共感を表明する
ことで頑なさを和らげ、論理的な説明を受け入れることができる心を
持ってもらう必要があるということです。
正しいことは、万人が納得できるものと受け止められがちですが、
そうではありません。正しいことを納得してもらうためには、納得して
ほしい相手の立場、心理、感情を適切に把握し、正しいことを納得でき
る心を持ってもらうという行為が必要です。ある行為が正しい結果を
生むとはこういうことなのです。
正しいことは決してベストだとは言えません。これを理解しない思い
込みが、正しい結果を生むことに対する障壁となることが多いのです。
社会にしろ組織にしろ、結論の成否や白黒が１００％明確に決着する
ことはありません。
正しいことを徹底することは大切なことですが、正論で物事を進めよう
としますと、多くの場合、相手の間違いをあぶり出すことに力が入る
ようになります。それが相手の聴く耳や受け入れる心を遠くへ押しやり、
物事を進めることを困難にしてしまいます。
物事を進め、適切な解決を得るためには、正しいことを認識した上で、
正しい結果を生み出すための思考と行動が取れるよう、日々努めること
が大切だろうと感じています。
プロジェクトリーダーの権限：考房だより１２７
業務改革やシステム構築、新製品や新市場の開発などの際によく
使われる手法の一つにプロジェクトチームがあります。既存の機能別
組織を横通しして作られる体制なので、マトリックス組織とも呼ばれ
ます。こうした体制の下でいつも問題を抱えているのは、プロジェクト
リーダーの権限です。
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●Ｈプロジェクトマネジャーより
いつも有意義なヒントを頂きありがとうございます。
小生も現在プロジェクトリーダーとして事業の立上げをしております。
名はエコシステムプロジェクト、簡単に言えば新エネルギーの販売促進、
工事施工の受注活動ということになります。
先般貴殿が書かれていたような具体的な指示を、企業トップから貰えず、
現在暗礁に乗り上げている状態です。なかなかメンバーの１人１人が
自分のできる事、やるべき事を明確に掴めず、時間だけが過ぎていくと
感じています。
プロジェクトのあり方、運営の仕方、相手企業の参加協力の在り方、など
参考になるようなご意見をお聞かせ頂きたいと思っております。
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＜考研ウィークリー２１０号＞
◎権限は取りにいくもの◎
事がうまく運ばず、その進め方のまずさが明らかになった時や、自分
には荷が重過ぎると感じた時に、「自分にはそこまでの権限がない」と
いう言い訳がよく使われます。
その言葉を耳にすると結構多くの人が、少々の不満を感じながらも納得
することが多いようです。どこまでの権限が与えられているかを、誰に
でも見えるように明示していないことが多いからです。
しかし、権限の委譲の内容や範囲を明示することは容易なことではあり
ません。ある種の権限に関しましては、業務分掌規定などで明示する
ことが可能ですが、困難なケースのほうが多いようです。
組織規定に明示されている部課の管理者と違って、組織横断型のプロ
ジェクトチームのリーダーの権限などは、明示するのが困難なものの
典型と言えるでしょう。
企業の活動や運営における権限とは、本来的には全てが経営トップに
あると言えます。企業の目的を果たすための組織運営において、企業
組織が効果的かつ効率的に活動できるように、経営トップの権限の
一部を割いて下部組織のリーダーや管理者に委譲する訳です。
企業内の組織のリーダーや管理者は、委譲された権限を行使するという
意味で、経営トップの分身ということになります。では、組織横断型の
プロジェクトチームのリーダーに関しましては、どのようなことが
言えるでしょうか。
プロジェクトチームとは、ある種の経営課題に関わる目標を達成する
ために編成されるものです。従いまして、そのリーダーには、目標を
達成する責任が課されます。
リーダーはチーム目標達成の責任を果たすために、活動を推進し、管理
することになりますので、そのために必要な権限がリーダーに委譲され
なければなりません。
プロジェクトチームのリーダーも、下部組織のリーダーや管理者と同じ
ように、経営トップの分身なのです。業務分掌規定などに明示されて
いなくても、責任の発生と同時に権限が委譲されていると受け止める
べきなのです。
ここで一つの問題が浮かび上がります。規定に明示されない権限を
具体化するには、何をどのようにすればよいのか、ということです。
この問題の答を見い出すためには、柔軟な考え方が必要になります。
まず、権限に関する解釈を改めなければなりません。権限とは規定と
して固定化できるようなものだけではなく、目標達成の責任を負う
者がそのために必要だと判断するもの全部だと考えるのです。
こうした考え方に立ちますと、権限の内容と範囲とは、目標を達成する
ために必要なことの実行権と受け止めることができます。その内容は、
場合によっては誤りとなるかもしれないリスクを冒すことの許諾も含む
ことになってきます。
目標達成のため必要なこととは、その責任を負って全身全霊を投入して
取組んでいるプロジェクトリーダーだけが把握できるものです。
従いまして、その推進権限は誰かに与えてもらうというのでは不充分
です。だから、リーダー自らが積極的に取りにいく必要があるのです。
更にもう一つ解釈を広げるべきことがあります。権限と言いますと、
決定権限、決済権限、実行権限などに限定して解釈することが多いよう
です。このことが「自分にはそこまでの権限はない」という言い訳を
引き出していると言えます。
「事を進める力」が権限であると解釈しますと、交渉権限、要求権限、
進言の権限、問題提起の権限などが浮かび上がってきます。この他
にも、状況に応じて多様な権限を考えることができます。
交渉をして思い通りの決済が得られれば、事は前に進みます。この時の
事を進める力とは、交渉する意志と能力です。これがあれば交渉権限を
持っている、と言えるのです。
プロジェクトリーダーを務めた若い人の次の一言が心に残っています。
自分は権限を持っているんだという意識を持つことが大切だ、という
ことがよく分りました。
先に述べましたような言い訳をする心は、こうした意識と意志を強く
持つことによって克服されていくものと思います。
権限とは事を進める力。そういう権限は責任を負ったリーダーである
自分が取りにいくもの。こうした考え方を実践することが組織に活力を
生み、前向きの人材を育てることになるものと思います。
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●Ｈプロジェクトマネジャーより
「権限」、我々には絶えず付いて回る言葉です。社内においても上司に
おいても私の権限はここまで、これ以上は社長決済・・・・との話が
出てきます。
プロジェクトチームのリーダーはその行為を完成させるまでの権限を
与えられています。しかしながらその権限をうまく活用できない事が多く
見受けられます。私も自ら権限を取りに行くよう日々努力です。
・自分が納得できない資料は相手も納得しない
・他人になるほどと思わせる資料の作成
・他人を感動させる資料の作成 等々
日々努力、あれもこれも 矛盾が生じる時間の配分。
自分が納得すれば権限もおのずと付いてくる。
明日を考え行動する毎日です。
「ワッチオフ 天気図眺め 安航祈る」
自分がヨットで太平洋を縦断したときの気持ちです。
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●Ｓ社長より
いつも素晴らしい情報を配信いただきありがとうございます。今回の
テーマのプロジェクト運営は、極めて重要だと思っており、共感した
次第です。
私は、２０歳台後半から「プロジェクトのとりまとめ」をライフワーク
と考え、様々な試みをしてきました。今の会社経営もその一環と捉えて
おります。
言い訳するより、権限は取りにいくもの、さらには奪い取るものとさえ
言い切れると考えます。
生き続ける極意
個人にとっても組織にとっても、生き続けることは最重要事項です。
昇進、華やかな社会デビュー、繁栄、市場制覇、といったことも魅力的
ですが、それを成し遂げた後の業績が振るわず、世間からの退場、悲惨
な境遇、消え入るような存在、というような死に体となっては、生き続
けているとは言えないのです。
生き続けるとは、それが次の世代に継承されていくことです。会社の
ような組織はもちろんのこと、芸術家や個人の生き方でも、自分１代で
終るようなことでは、生き続けるとは言えないのです。
芸術家はそれを次世代の人々に伝承しますし、個人の生き方も賛同する
人々に伝わっていきます。即ち、生き続けることは、自分だけの問題で
はなく、後に続く人たちに伝えることも含めて捉えるものなのです。
生き続けることは、強いものが獲得する訳ではありません。自然界に
例を取れば、生き残るために必ずしも強さが必要だとは言えないのです。
その逆です。生き残ったものが強いのです。
この辺りのことを、自然界にある雑草の生き方に沿って、お伝えしよう
と思います。
植物には３つのタイプの生き方があります。植物が生きる上での成功
戦略です。
１）競争に勝ち抜くタイプの植物
２）１）のタイプが生存できない過酷な環境に適応するタイプの植物
３）１）でも２）でもない弱者と呼ばれる植物
よく言われる言葉に「雑草のように強く」というのがありますが、現実
には雑草は３）のタイプなのです。この３）のタイプの生き方こそが
生き続ける極意にかなっていると言えそうなのです。
弱い植物である雑草は無理な戦いはしません。競争者がはびこる環境
を避けて生きています。これは弱者にとって最も大切なことです。雑草
には、どこにでも生えるようなイメージがありますが、実は雑草が生え
ることができない場所はたくさんあります。
多くの種類の植物が生えるような豊かな森には、雑草の姿を見ることは
できません。雑草が生えている場所は空き地とか、道端とか、雑草以外
の植物が生えていないような場所ばかりなのです。
雑草が生き続ける上で一番重要なのは、発芽のタイミングです。雑草
の種子はじっと発芽のタイミングを計り、チャンスと見れば一気呵成に
芽を出します。
発芽するタイミングとして重要なのは、競争相手となる大きな植物が
いない環境にある、ということです。地面が大きな植物に覆われてしま
えば、芽をだしても枯れるだけとなるからです。
庭の草取りをした後、１週間もすれば雑草の芽が一斉に生えてくること
を見れば、このことがよく解ります。雑草の種子は適切な環境になる
まで、発芽の準備を怠らず、じっと待っているのです。
多くの雑草の種子は、発芽のタイミングにバラツキをもたせています。
一例としてオナモミという雑草の種子を見てみます。衣服などに付く
オナモミのタネ（本当は実）を開いてみますと、２つの種子があります。
この２つの種子は、それぞれ違った性格を持っています。一方の種子は
環境条件が整うと直ちに芽を出します。ところがもう一方の種子は、
どんなに環境条件が整っていても直ぐには芽を出さないのです。
これがオナモミが生き続けるために、自然から与えられた戦略なのです。
環境条件に応じて発芽した種子が、不測の危機の発生により全滅する
ようなことになっても、なかなか発芽しない種子が危機が去った後に
発芽することによって、オナモミは生き続けることができるのです。
多くの雑草の種子はこうした特性を持っています。
雑草はみんな一年草です。実は、１年以内に花を咲かせて種子を作る
一年草は、最も進化した植物の形の１つです。その理由は次のように
説明されています。
植物の目的は花を咲かせて種子を残し、次の世代へと命をつなぐこと
です。寿命が短ければそれだけ、種子を残すまでに不測の事態に遭遇
する機会が少ないのです。
そしてそれは、どんどん世代を更新して新たな環境に対応していくこと
ができる可能性を高めることにつながります。雑草が生き続ける秘訣の
ようなものが、こうしたことにあると言えます。
以上のように雑草は変化する環境の下で生きる植物なのです。変化し
続ける環境に対応して自らも変化できることが、雑草の重要な能力だと
言えるのです。
しかし、どのように変化しようと、前記しました雑草の目的は変わる
ことはありません。作物は不適な条件では花を咲かせないことがあり
ますが、雑草は条件の適不適にかかわらず環境に合わせて自分を変え、
必ず花を咲かせて種子を作るのです。
雑草にはもう１つ凄い特性があります。それは、踏まれたら立ち上が
らずに地面に伏せていることです。歩道やグラウンドなど、よく踏まれ
る場所では、どれもぺったりと地面に張り付いています。踏まれて倒れ
たのではなく、自分から伏せているのです。
一般に語られる雑草のイメージは誤っているようです。こうした特性は、
情けないと感じられるかもしれませんが、大切なのは、立ち上がること
ではなく、踏まれても踏まれても生き抜き、花を咲かせて種子を残す
ことなのです。
この目的に照らし合わせますと、踏まれる度に立ち上がることは無駄な
努力であり、地面に伏せて生き抜くほうが目的にかなっていると言える
のです。
以上のような雑草の生き方には、多様な環境の下でしたたかに生きる
ための「生き続ける極意」のようなものを感じます。個人にとっても、
組織にとっても、雑草の生き方から学ぶものがたくさんあるようです。
このページで解説されている内容の実践について、無料相談を承っております。
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