| 月刊：考研レビュー |
| ２０１６年 ８月号 ４週：努力の方向 |
| ３週：リーダーシップと教育のこと：考房だより１３０ |
| ２週：プロフェッショナルの在り方 |
| １週：思考の起点、進行の終着駅 |
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努力の方向
多くの人たちは努力をしています。しかし、努力の成果を手にする人
たちもいれば、努力が無駄になってしまう人たちもいます。この２種類
の人たちの間には何らかの違いがあるはずです。その違いを明らかに
しようと思い、幾つかの事例から考えてみました。
１）ある工場ではクレームの多発に悩んでいました。クレームの内容と
原因を記録し、再発防止策も記入して、これを衆知徹底することで
クレームの削減に取り組みましたが、成果は今ひとつでした。
２）あるプロジェクトチームで改善活動を進めていました。推進過程で
表面化した問題を１つ１つ解決しながら前進していました。ある
程度型通りに解決できる問題ばかりが発生している間は、こうした
やり方で活動は順調に運んでいました。
そんな中で、原因を追求する必要がある問題が発生しました。この
問題を解決するために、チームメンバーは多くの時間を費やして
原因の追求に取り組みました。原因を見出し、問題解決に至ったの
ですが、あまりにも時間を使い過ぎたため、計画していた期限が
来ても活動の成果を手にすることはできませんでした。
３）ある業務チームが人員の削減を要求されました。経営上仕方のない
ことでしたのでこれを受け入れ、少なくなった人員で業務処理を
することにしました。
業務の内容を整理し、新たな人員での担当業務を設定し直しました。
当然、１人１人の業務は増えました。増えた業務を従来通りに行う
ための生産性向上努力は１人１人に任されました。メンバー全員が
努力したのですが成果が得られず、結局は元の人員に戻すことに
なってしまいました。
以上の３つの事例は全て、努力が無駄になってしまったものです。
この３つの事例で、なぜ努力が無駄になって成果が得られなかったのか、
どのようなことを行えば努力の成果を獲得できたのか、こうしたことに
ついて考えてみました。
１）クレームの内容と原因、そして再発防止策を記録し、誰でも見る
ことができるようにすることは大切なことです。こうしたことに
努力することは間違いではありません。しかし、それだけでは努力
の成果は出てこないのです。
この事例で必要だったのは、記録の内容を何らかの方法で分析・
分類し、どの類のクレームを撲滅するのが効果的なのかを探り、
その上で、最も効果的だと判断されたポイントに、未然防止策と
再発防止策を徹底する努力だと言えます。
２）改善活動を推進する際、必ずゴールを設定します。ゴールとして
設定される２大項目は、達成すべき目標と期限です。この事例では、
発生した問題の原因追求に努力しているうちに期限が迫り、目標を
達成できませんでした。
ここに一つの疑問が浮かびます。その問題の原因追求はその時点で
行う必要があったのか、ということです。目標達成思考の原則の
一つに、「未だ時間と期間が残っている。目標を達成するために
それをどう使うのが適切かを考えよう」というものがあります。
この原因を明らかにするのは期限を過ぎた後とし、目標達成のため
に残りの時間と期間を上手に使うことに努力すれば、期限内に目標
を達成できた可能性は高かったのではないかと判断されます。
３）チームの生産性を上げて、少人数でこれまで通りの業務を行うこと
に１人１人のメンバーが努力しましたが、成果を出すことができず、
元に戻さざるを得なかったことには明確な理由があります。
その理由とは、自分が担当する業務を処理できるように各人が努力
すべし、という精神論的な取り組みだったことです。必要だった
のは、直接的な個人の頑張りではなく１人１人の負荷を軽減する
ための仕組み作りの努力だと言えます。
業務全体や業務の流れを把握し、業務の中に潜む無駄や重複を除き、
少ない作業時間でも同じ結果が得られるように作業を再設計する、
といったことに努力を集中していれば、この人員削減は成功して
いたでしょう。
仕事にしろ学習にしろ、何らかの成果を得ようとして取り組んでいる
はずです。そういうことですから、成果につながらない努力は無駄に
なってしまうのです。
上記の事例の中に現れているのは、努力の方向を間違えるとその努力は
無駄になってしまう、ということです。類似の事例は、営業や製品開発
など、他にも多々あります。
目標を掲げ、これを達成して成果を得ようとする時、そのための努力
が無駄にならないように、努力の方向が適切かどうかをしっかりと考え
てみることをお勧めします。
リーダーシップと教育のこと：考房だより１３０
リーダーシップという言葉を知らない人はいないでしょう。
ある人の働きによって事がうまく運んだ時などに「あの男のリーダー
シップは大したものだ」などと褒めそやしたりします。
逆に物事がうまく運ばなかった時など「担当管理職にリーダーシップが
欠けているからだ」などと酷評したりします。そんな時でも、リーダー
シップの具体的内容について語られることは少なく、皆なんとなく同調
していることが多いようです。
そんなことですから、リーダーシップを身に付けさせるためにはどう
すればよいか、といったことにまで話が発展することは稀なのです。
今回はリーダーシップと教育について、経営者の方々の様々なお話や
意見交換に基づいて、議論風にまとめてみました。
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Ｅ社長「最近、うちの中堅社員のリーダーシップの無さにがっかりして
いるんですよ。もう少しましかと思っていたのに、目前にした
時はショックでしたね」
Ｎ社長「一体何があったんですか。Ｅさんのところの若い人たちには
しっかりした人が多いなあと日頃から思っていましたので、
今のお言葉はちょっと意外ですね」
Ｅ社長「組織の風通しを良くすることと、組織横断的に課題を解決する
ことを経験させることを狙って、選抜チームを作って、中堅
社員レベルから見た業務改善課題をテーマに選ばせて、チーム
活動をやらせてみたんですよ。
始めのうちは、和気あいあいとした雰囲気でよく意見交換や
議論をしていたようなので、「よしよし」という感じで見て
いたんですが、いざ活動開始となると皆主導権を取りたがら
ないんですね。
各部署との交渉や説明の苦労が付いてまわることが見えてます
から、きつい作業の分担を避けようとして、自分から計画の
具体化に向けた発言や役割分担を決めるための発言をしようと
しないんです。
要するに、自分がこのチームを引張っていくんだとか、この
チームは自分が支えてやろう、といった意識が見えてこないん
ですね」
Ｄ常務「一般的に中堅クラスというのはそんなもんじゃないですか。
実務能力は高く仕事意欲も高いのに、権限が与えられていない
とそうなるんですよ」
Ｎ社長「そう、うちでもその通りなんですよ。権限は与えられるもの
ではなく、自分から取りにいくものだ、と言ってはいるんです
けどね」
Ｔ専務「言うだけでは無理ですよ。だって権限の裏には責任がある訳
ですから。中堅クラスに責任感を持たせるのはむずかしいと
思いますよ」
Ｎ社長「何か教育が必要だということですかね。中堅社員研修とか
リーダー行動研究会、といったことをやりましたが、その場
限りであまり効果は無かったように思いますが」
Ｂ社長「そういう類の教育は要らないと思いますよ。この前ある社長に
会って話を聞いたんですが、その会社は急成長中なんです。
だから、社長も社員も忙しくてしょうがない。
人が足りないから、採用もどんどんやる。でも教育の時間が
取れない。結局は仕事をする中で仕事を覚え、自分の能力を
高めていくような仕組みをつくるしかない。
最高の教育は社長の後姿、マネジャーたちの後姿、職場の先輩
たちの後姿、だということでした。『後姿教育』をすれば
社員は自立し、責任を自覚し、自分の権限もわきまえる、
ということなんんでしょうね」
Ｔ専務「それは特殊な例でしょう。急成長中で、手に余るほどの仕事が
ある時にはそういうことも言えるでしょうが、そうでないこと
のほうが多いですよ。
市場が変化して、このままでは売上が減少して利益が出なく
なりそうだ、といった時には教育の全てを『後姿教育』でやる
のはむずかしいと思いますよ」
Ｅ社長「私もそう思いますね。私のところで組織横断的な活動を始めた
のも、停滞を脱する道を探りたかったからなんです。その中で
先程お話をしましたようなことが見えて来た訳です。
プロジェクト活動や委員会活動をやるということは、職制
から外れて活動する訳ですから、職制の中で自分が保持して
いない別の権限が生まれますし、リーダーシップも必要に
なってきます。
そこのところも私の狙いの一つだったんですが、もう一つ回ら
なかったですね」
Ｄ常務「私は『後姿教育』は重要だと思いますね。どんな優れた教育
プログラムでも、現場での『後姿教育』が無ければ実効は殆ど
無いでしょう。『後姿教育』の実践は上に立つ者全員に課せ
られた義務であり、責任をともなうものだと思いますね。
それと、Ｅさんのところの活動での問題は、活動メンバーたち
に活動の目的／目標と、それを達成する活動の在り方を納得
させることにあったのではないかと、ふと思いました」
Ｅ社長「Ｄさんのおっしゃることはどういうことでしょうか。詳しく
聞かせてください。一応メンバーたちには、目的／目標は明確
に伝えたつもりです」
Ｄ常務「Ｅさんの言われる通り、メンバーたちは、何のためにやるのか、
どういう状態になるまでやるのか、といったことは理解して
いたと思います。だから活動計画や作業計画ができたんです。
問題となったのは実行段階ですよね。実行段階では目標達成と、
行動することとの関係を明確にしなくてはいけないと思うん
です。目標を与えることは、メンバーたちに目標達成の責任を
課すことです。
目標達成責任を公式に背負った際には、目標達成に向けて
あらゆる必要な行動を取らなければなりません。或種の行動を
取るためには権限が必要になってきますから、そこで権限を
取りにいく必要が生じます。
即ち、責任を課せられたら、責任を果すための権限が生じます。
だから、メンバーたちには、必要な権限を取りにいく権限が
あると考える必要があります。どんな方法で取りにいくかは
メンバーたちで検討することです。
こういうことをメンバーたちに納得してもらった上で活動を
進めれば、リーダーシップは間違いなく育ちます。その時重要
なのが、その活動のスポンサーである経営者やマネジャーの
後姿だと思います。スポンサーがメンバーたちに要求すること
とは懸け離れた後姿を見せるのでしたら、メンバーたちは要求
通りには動くはずはないですよね」
Ｅ社長「なるほど面白い。簡単なことではなさそうですが、Ｄさんの
言われる通りのような感じがします。うちの社員たちに当て
嵌めるには、具体的にどんなやり方が良いのか、よく考えて
みます。いやーＤさん、ありがとうございました」
Ｂ社長「なるほどねー。私のお話した『後姿教育』をやっている会社
でも、中身はそういうことなのかもしれませんね。さすがは
人事や能力開発のプロですね、Ｄさんは」
Ｔ専務「この前目にした新聞記事の中に『教育をしないことのリスク』
という言葉がありましたが、今日皆さんとお話をしてまして、
それを実感しましたね。『後姿教育』とは、教育をしないこと
ではなく、上に立つものの行動が全て教育なんだということ
ですよね。リーダーシップ教育はまさにその通りですよね」
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如何でしたか。何か掴んで頂けるものがありましたら幸いです。
プロフェッショナルの在り方
私たちはプロとかプロフェッショナルといった言葉をよく使います。
それも、何の説明や注釈もなしにです。説明や注釈をしなくても相手は
この言葉をすんなりと受け入れてくれるからです。
私たちは、プロとかプロフェッショナルという言葉の意味を理解して
いるのでしょうか。どういう存在なのか教えて欲しいと求められたら
説明できるのでしょうか。恐らく、戸惑う人のほうが多いでしょう。
私たちがよい仕事をしようとしている時、心の中にプロフェショナル
の意識が宿っているのではないでしょうか。しかし、それは無意識の中
でのことですから、本人には判らないのではないでしょうか。
そこで、仕事をする人たちのどのような在り方が、プロフェッショナル
と呼べるのかを考えてみました。色々と資料も集め、色々な意見も聴き
ました。
ウィキペディアに次のような説明があります。
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本来の意味は「職業上の」で、その分野で生計を立てていることを言い、
「公言する、標榜する」が語源である。しかし、日本語としての「プロ」
という言葉には、派生として以下の意味が含まれる。
１．ある分野について、専門的知識・技術を有していること、あるいは
専門家のこと。
２．そのことに対して厳しい姿勢で臨み、かつ、第三者がそれを認める
行為を実行している人。
３．ヤクザを意味する隠語。
４．複数のグレードがある場合、比較的上位バージョンにつけられる。
------------
私たちはこの言葉を、１．または２．の意味で使っていることが多い
ようです。また、１．の意味はエキスパートやスペシャリストという
言葉で置き換えることができます。
しかし、私たちは、エキスパートやスペシャリストとプロフェショナル
とは同じではない、と感じています。エキスパートだがプロフェショナ
ルではない、スペシャリストだがプロフェショナルではない、と感じる
ことが多いからです。
でも、プロフェショナルを標榜する場合、そこには必ずエキスパート、
あるいはスペシャリストの条件が具わっているのです。ここに現れる
違いを追求していけば、プロフェショナルの在り方が見えてくるのでは
ないか。そんな想いが湧いてきましたので、試みてみました。
多くの人が組織の一員として働いています。一般的にこういう人たち
のことを“組織人”と呼ぶことがあります。ところが、こういう人たち
の中にもプロフェショナルがいる、と言われています。プロフェショナ
ルと組織人とは違うのです。その違いとは次のようなことです。
組織、仕事、個人の３つの側面から考えてみます。仕事と組織とは
つながりを持っています。個人は組織に属しています。そこには、
「仕事─組織─個人」という形が浮かんできます。仕事と個人とを結び
付けるのは組織です。こういう個人を組織人と呼びます。
一般的に、企業の社員は組織人です。こういう人たちは、或る時まで
従事していた仕事が無くなれば、同じ組織内で別の仕事に就くことに
なります。
一方、個人が仕事と直接つながっている場合があります。特別な能力を
持った個人の場合に多いようです。このような人たちは、仕事があるが
ゆえに組織に属していると言えます。「組織─仕事─個人」という形が
描けます。こういう個人をプロフェショナルと呼ぶことができます。
身近な例を上げれば、専門職としての経営者、特別な能力を持つエンジ
ニア、専門職としてのコンサルタント、といったところでしょう。こう
いう人たちは、仕事が無くなれば組織を去って、能力を必要とする別の
組織に移っていきます。
もう一つの興味深い事例を紹介します。東日本大震災の中で起こった
福島第一原発事故によって、この原発に関わった人たちや組織のプロ
フェショナル性の欠如が浮かび上がったという意見があります。
この原発の建設の際には、設計者のほかに優れた大学教授などの専門家
がついて、稟議もして先に進めたはずですが、それほどの知性を集めて
いながら、例えば、非常用電源は山の上に置いたほうがいいとうような
当然出てくるはずの意見が、なぜ反映されなかったのか、という疑問が
取り上げられています。
この発電プラントを全体として捉え、安全面にも配慮して全体計画を
設計した人はいるはずです。その人の安全に関する提案がより多くの
予算を必要とするとの理由から、結局は却下された可能性も高いのかも
しれません。そういうことであれば、政府や東京電力の、プロフェショ
ナルの人たちの使い方に或る種の問題があったというのです。
１人で大きな責任を背負うというリスクを分散するために、本来のプロ
フェショナルの職能を細分化し過ぎると、誰が責任を取っているのかが
わからなくなってしまいます。
政府も東京電力も、未だに何が原因で、誰が原発設計の責任者だったの
かを明確にできないのはこのためだというのです。責任の無い１００人
もの大学教授に意見を聞いて何となく作り上げるよりも、１人の責任者
を設計主体にしたほうが、より安全な設計ができたはずだという訳です。
こうした責任を背負う主体となれるような人が、プロフェショナルと
呼ばれるに相応しいということが主張されています。
自分の発言や提案に対して強い責任意識を持ち、どうしても譲れない
ことは譲らないと正面から主張できる人、それが認められないのなら
「これは自分のやるべき仕事ではない」と言って去っていく人、そんな
人がプロフェショナルだと言えそうです。
この原発事故の事例から、もう一つのことが浮かび上がっています。
プロフェショナルに相応しい仕事をしてもらうためには、プロフェショ
ナルの在り方を認識し、敬意を持って仕事を依頼することが必要だと
いうことです。
プロフェショナルの人は、プロフェショナルでなければ提供できない
ようなレベルの高い仕事ができるように、常に努力を重ねています。
そういう人たちに、先述しましたようなリスク分散的な仕事は相応しく
ないのです。
以上のようなことから、プロフェショナルの在り方が見えてきます。
仕事をする人間として、自分がやるのならプロフェショナルを目指し、
他者に頼むのならプロフェショナルにお願いする。多くの人たちがこう
いった意識と姿勢を持つことが、個人にも組織にも社会にも、進歩と
発展をもたらすはずだと思っています。
思考の起点、進行の終着駅
何かについて、ある事柄について考える際、意識しているか否かに
かかわらず、その思考の起点が必ずあります。それは思考を開始するに
当たっての前提条件と受け止めることができます。
思考の起点となる前提条件とは、課題設定、目的、制約条件、常識、
立場、といったものです。同じ問題解決に取り組むに当たっても、こう
した前提条件が違えば、導き出される解決策は違ったものになります。
ということは、思考の起点が適切か否かによって、有効な解決策が出て
くるか、無意味な解決策が出てくるかが決まってしまうことになります。
実際、その通りなのです。
問題解決や課題に取り組むに当たって最も重要なことは、思考の起点
を決めることです。何も意識していない状態にありますと、周囲の声に
影響されて何となく思考の起点が決まってしまいます。
こうした状況に陥っているのではないかと感じられる時には、疑って
みることが必要です。これは本当に解くべき問題なのか、問題を解く
目的は何なのか、この目的に最適な問題解決はこれなのか、といった
疑いに対して、自分なりの答を出してみるのです。
例えば、在庫が多すぎることが問題になっている場合、在庫を減らす
必要があるとの判断から、在庫管理の適切な方法を検討することに課題
設定することが多いものです。即ち、在庫を適切に管理することが思考
の起点になっています。
この課題設定に疑いを持つ人がいたとします。そもそも在庫なんて無い
ほうがいいのではないかと彼が考えますと、在庫を無くすことが思考の
起点となります。
この二つの思考の起点からスタートしますと、検討の対象も方法も違う
ものになります。当然のことながら、結論となる解決策も全く違うもの
になります。
アパレル業界で見れば、前者の思考の起点からの結論がＳＰＡであり、
後者の起点からの結論が“売り切れご免”のファストファッションだと
いう訳です。善し悪しは別として、この違いは大きいと言えます。
適切な解決策を得るために、適切な思考の起点を見出すために必要な
ことが幾つかあります。それを列記してみます。
・本当に解くべき問題が何なのかを徹底的に考える。
・自分の思考を枠に嵌めている制約条件や前例や常識を疑ってみる。
・様々な視点や立場から考えてみる。
こうしたことを上手に使うことができれば、適切な思考の起点に近付く
ことができるはずです。
ある思考の起点からスタートして検討を進めた結果、ある解決策が
得られます。この段階では、この解決策が適切かどうかを判断するのは
容易ではありません。
この解決策はあくまでも、過去からの推移も含めた現在の状況に対応
したものに過ぎないからです。この解決策を実行した結果として現れる
状況は未来のものですから、その状況下でこの解決策が有効に機能して
いるかどうかは未だ見えないのです。
そこで必要になるのが、この解決策の進行の結果である終着駅を読む
ことです。囲碁や将棋では、或る手を打てば相手がどう出てきて、どの
ように局面が変わっていくかを読みます。それと同じことをするのです。
この解決策の実行により、環境や人々の動きがどのように変化し、社内
の動きがどのように推移するかといったことを、想像力を駆使して考証
することを通して、終着駅の姿を描くのです。
この終着駅思考によって、当初の解決策が適切だと判断される場合も
あれば、幾つかの修正が必要なことが判明して解決策が変質することも
あります。場合によっては、当初の解決策では好結果が得られないと
判断され、思考の起点を新たに設定し直して一からやり直すこともあり
得ることです。
問題解決や課題の達成に取り組むに当たっての最重要事項は、適切な
思考の起点を決めること、そして得られた解決策の進行の終着駅の姿を
描くことです。有効な策を得るために、これは外せないと思います。
このページで解説されている内容の実践について、無料相談を承っております。
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